狙われし姫巫女と半妖の守護者
「ら、乱麻くんっ……!」
「はっ! 鬼みたい! やっぱ不細工~!」
地団太を踏んで笑う乱麻くんに私は、爆発しそうなほど頭のてっぺんまで熱くなって、毛が逆立つ。
すると、バシッと良い音をたて、七瀬くんのチョップが乱麻くんの脳天に見事ヒット。
乱麻くんは、アヒルみたいに呻いて縮みあがった。
「おい、やめろ。凛ちゃんは初めてなんだ。あんまりからかうなよ」
「へいへい! まったく、俺の身長縮める気かよ」
七瀬くんのお説教に乱麻くんはすっかりいじけっ子に。
頬をパンパンにふくらませてそっぽを向いてしまった。
そんな彼の子供っぽい仕草に、私はつい笑いを漏らす。
「ごめんね、凛ちゃん。乱麻はこんなで、紫希は愛想ってものを知らなくて。でも、行ってみればわかるから」
七瀬くんは苦笑いしながら肩をすくませた。
私は苦い笑顔を顔に貼りつけながらも、この中で一番の常識人に違いない七瀬くんは色々大変なんだろうなと、思わず遠くを見てしまった。