狙われし姫巫女と半妖の守護者
だから窓越しにでも見ているような遠さを感じる。
私はぼんやりと彼の姿をとらえたまま、なんとなく口を開いた。
「ああいう人ってなんか違う次元に住んでるじゃん? ド凡人の私には、あんまり関係ないかなって思っちゃう」
なぜかまた、着物の彼の後ろ姿がよみがえってのみこむ。
普通が一番いい……。
多くのみんなと同じ生活がいい。
なにか特別なことをしたいなんて思わない。
普通ならそれでいいって、私はいつもそう思う。
家だって、お母さんのことだってそう……。
「凛は、いつもそれだよね~。もうちょっと夢を見ないかねぇ?」
ようやく真央は、口を尖らせて肩をすくませた。
まるでお手上げだとでも言いたそう。
「別に恋したくないとかそういうのじゃないよ。ただ普通でいいだけなの」
「はいはい、わかりましたよ~」