狙われし姫巫女と半妖の守護者
言葉に宿された憎しみに、心臓が騒ぐ。
こんなにも目と鼻の先に、あの恐ろしい人たちが住んでいる。
見下ろすように、ひときわ高い城が威圧してくる。
あの人たちなら簡単にすぐ攻め込んでくるんじゃないか。
また火を放つかもしれない。
頭の中を不安が駆け巡る。
瞳が動揺して揺れてしまう。
私は瞼をギュッと閉じて、胸の前で手を組んだ。
守るために来たのに、怖気づくなよ、私。
なに震えているの、私!
その時、心で叫ぶ私の声を、パンパンと手を打つ音が断ちきった。
「お前ら、先に行ったのになにをしている?」
聴けばだれの声かなんてすぐわかる。
私はハッとして振り返る。
いつもと同じように、きれいな立ち姿で、涼しい顔をした紫希がいる。