狙われし姫巫女と半妖の守護者
ほっとして震えは止まり、ぼけっと見惚れてしまう。
だけど紫希は、呆れたようにため息をついて、怪訝そうに腕を組んだ。
「このあと、村の長老と謁見することになっている。凛、早く着替えてこい」
「えっ?」
私のはるか高みから、脳天めがけて言葉を放り投げてくる紫希。
長老?
着替え?
私は強張った笑顔で首を傾げた。
いったいなんのこと?
すると、背後でぎしりと音がした。
「お待ちしておりました、姫巫女様。どうぞこちらへ」
振り返れば屋敷の開かれた木戸の向こうに、深緑の着物をまとった女性がふたり、丁寧にお辞儀をして、私を出迎えていた。
「ど、どちらへ……?」
わけもわからず声が裏返り、私は思わず目を瞬いた。
女性たちはにっこりと笑って、私の両腕を掴みに来るとぐいぐいと中へと誘っていく。