狙われし姫巫女と半妖の守護者


「ちょ、ちょっと、え~!?」

叫びもむなしく、私は屋敷の中に吸い込まれていったのだった。

*・*・*・*・*

私は光がさんさんと差し込む部屋で、大きな鏡台の前に座っていた。

いったい、これは誰だろう……?

私はそっと頬に触れ、頬に熱を持つのを感じながら、鏡をまじまじと覗き込む。

髪はゆったりと後ろで束ねられ、左耳のそばには煌びやかな金の髪飾りが揺れている。

そして、いつもよりふっくらと白い肌。

淡い赤色がのせられた瞼の端。

唇には、小さめにひかれた鮮やかな紅。

とても大人っぽくて、自分ではないみたい。

「お綺麗です、凛様」

「涼子様によく似ておいでで、とてもべっぴんさんでいらっしゃいますね」

ふいに、両側から女性にひとりずつ話しかけられてドキリとする。

私はかあっと頬が熱くなるのを感じながら、俯いた。


< 328 / 568 >

この作品をシェア

pagetop