狙われし姫巫女と半妖の守護者
「そんなこと……。お化粧までしてくださってありがとうございます」
気恥かしさで口ごもる。
だって、こんなに綺麗にしてもらった経験なんてないから。
「もう支度はできたかい?」
右側一面の4枚の障子の方から、七瀬くんの声が聞こえてびくっと体が跳ね上がる。
外の光をふんだんにとりこむ白い障子紙に、ひとりだけ背の低い3人の影がくっきりと見えていた。
「はい、ただいま終わりました」
世話をしてくれた女性たちは、流れるような動きでさっさと障子を開けに行ってしまう。
思わず止めたくなって私は慌てて立ち上がろうとするけれど、慣れない服に足がもつれそうになる。
そんなことをしている間に、開け放たれてしまった。
縁側に並ぶ紫希と七瀬くんと乱麻くん。
私は棒立ちになり、目が飛び出してしまいそうなほど見開いて、頭から湯気が出そうなほど体温が沸騰していく。
すると七瀬くんが、とびっきりに笑顔をはじけさせて、瞳を煌めかせた。