狙われし姫巫女と半妖の守護者


「猫丸って変わってるよね。よく見ればかわいい感じのイケメンなのに、意味不明すぎて残念だわ」

真央はすかさずイケメンの話へ持っていく。

「うん……、それは私も納得……」

その話題にまた苦笑いしつつも、クラスメイトになったばかりの彼のことは私だって変だと思っていた。

他の男子よりも小柄で髪は赤っぽくてかわいく見える彼だけど、授業中起きているところを見たことがない。

たまにわけのわからない寝言を言ってみんなをよく驚かせるんだ。

それにしても頭は痛くないのだろうか?

訝しみつつ、つい小首を傾げてしまう。

そんな彼を見ていたら、ふいに廊下を横切った人影に目を奪われた。

胸の中でバチッとなにかが反応し、私は焦ってその影を追う。

肩の位置が高いワイシャツの白い背中が、ろう下へ向いた教室の窓の向こうを過ぎていく。

他にも何人かの背中はあった。

でも、私はそのひとつの背中しか追っていなかった。


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