狙われし姫巫女と半妖の守護者


七瀬くんはまた乱麻くんに怒鳴り、今度は紫希の肩を必死にバンバンと叩きだす。

その瞬間、一気に青ざめて、切羽詰まる私。

七瀬くん、やめて!

そういう話題、ふっちゃいけない人にふっちゃってる。

七瀬くん、一番空気読める人なのに絶対にダメな人に聞いちゃってる。

心臓が、狂ったみたいに鳴り響く。

紫希が困ったようにチラチラと私を盗み見ている。

答えづらいのかな。

それはそうだ。

だって、私は別にかわいくないし、それに、紫希にはあんなにも健気で素敵な彼女がいる。

ほめ言葉なんて、言うわけないじゃないか……。

「ああ、まあ、いいんじゃないか……」

私はバカみたいに口をポカンと開く。

紫希の耳が、ただ太陽のせいなのか、心なしか赤く染まっていた。


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