狙われし姫巫女と半妖の守護者
その奥の壁際のまん中に、黒い着物を着たお爺さんがいた。
「長老、無事、姫巫女様をお連れしました」
紫希はその人に報告すると、長老の真正面に置かれた座イスへ私を案内する。
私がそこに着席すると、3人はその後ろの座布団へと着座した。
すると目の前の、年の年輪が刻まれたお爺さんは背中を丸め、深く頭を下げた。
「姫巫女様、我らの村までお越しくださり、誠にありがとうございます。私、この村の長をさせていただいております、園部勘十郎と申します」
「こちらこそ、これからお世話になります。涼子の娘、鈴代凛と申します」
私も畳に手をつき丁寧に礼をした。
お互い同時に顔をあげると、ふさふさした白髪の眉の下で白んだ黒目が切なげに揺れた。
「凛様、我らはあなた様のことをいつもいつも想いながら生きてまいりました。涼子様のことは謝っても謝りきれぬことをしてしまい……」
お爺さんは畳の上に崩れるようにして、音をたてまた深く頭を下げた。
「遅くなりましたが、誠に申し訳ございませんでした。ざんげのしようもございません」