狙われし姫巫女と半妖の守護者
お爺さんの大きな声は掠れ、体は激しく畳の上を這いつくばっている。
私は耳をおさえて、いやいやとかぶりを振る。
「やめてください、長老様!」
聞いているだけで、苦しくて苦しくて痛くてたまらない。
私は、きっとお母さんだって、そんな辛そうな姿見たくない。
私は堪え切れずにお爺さんへ手をのべようとするけれど、お爺さんは畳にしがみついて離れなかった。
声はもっともっと頑なに強くなっていく。
「次の戦はきっと、きっと、我らの力で、烏天狗に打ち勝ちます。今度こそ姫巫女様のお命を守りきらせていただきたく……」
私はこれでもかと強く畳に拳を打ちつけた。
「ちょっと待ってください。私は、守られるためにここに来たのではありません」
宙ではじけ散る叫び。
一瞬にして舞い上がる金色に煌めく塵。
それ以外は静まり返る。
お爺さんは静かに顔をあげた。