狙われし姫巫女と半妖の守護者
鼓膜へと叩きつける揺るがない声。
私の心臓は大きく跳ね、即座に隣へと視線を走らせた。
そこには、前かがみに正座して畳を叩く紫希の姿。
いつもの切れ長な目が、怒ったように強く見開ききっている。
「凛様が、ここまで赴いてくださったお心を、受け取らさせていただくことこそ、我らのすべきことではありませんか」
強すぎる想いが、胸を貫いていく。
必死になって固まった体がほぐれて、私は崩れそうにやっと座っていた。
お爺さんは閉口して俯いた。
紫希は、私の気持ちをちゃんと受け止めてくれていたんだ。
私の目尻から想いの雫が溢れだす。
すると、紫希は返す言葉のないお爺さんを見て、冷静に話す。
「さしあたっては、凛様にお渡ししなけらばならないものがございます。長老、失礼いたします」
そう言って立ち上がり、私の前に腰を下ろすと、黒く澄みきった紫希の瞳と視線が交わった。