狙われし姫巫女と半妖の守護者
その鈴が、この手の平におさまってしまっている、これ……?
私はわずかに首を傾げて紫希を見ると、彼は静かに頷いた。
「力を操ることはまだ難しいことですが、この神器が姫巫女の真の力を引き出す際に、大切な道具となります。ですが、凛様ともどもこの鈴も烏天狗は狙っております。ですので、むやみに使ったり、人目にさらしませんよう」
重みのある紫希の声が、ずしりとのしかかる。
そんなすごいものを、ちゃんと私が持っていられるだろうか。
まるで迫ってくるように威圧してくる小さな鈴に、私は臆して手を出せない。
でも突如、紫希は私の手をとった。
一瞬のことに目を見開けば、紫希は心静かにその涼やかな目を閉じていた。
そして、私の手の中に鈴を移し、私の手ごことがっしりと包み込んでくれたのだ。
「この品は、先代の涼子様も肌身離さず持たれていたものです。いわば、凛様の母上様の形見」
「お母さんのっ……」
声がつまって紫希の顔がぐちゃぐちゃに歪んでいく。