狙われし姫巫女と半妖の守護者


その鈴が、この手の平におさまってしまっている、これ……?

私はわずかに首を傾げて紫希を見ると、彼は静かに頷いた。

「力を操ることはまだ難しいことですが、この神器が姫巫女の真の力を引き出す際に、大切な道具となります。ですが、凛様ともどもこの鈴も烏天狗は狙っております。ですので、むやみに使ったり、人目にさらしませんよう」

重みのある紫希の声が、ずしりとのしかかる。

そんなすごいものを、ちゃんと私が持っていられるだろうか。

まるで迫ってくるように威圧してくる小さな鈴に、私は臆して手を出せない。

でも突如、紫希は私の手をとった。

一瞬のことに目を見開けば、紫希は心静かにその涼やかな目を閉じていた。

そして、私の手の中に鈴を移し、私の手ごことがっしりと包み込んでくれたのだ。

「この品は、先代の涼子様も肌身離さず持たれていたものです。いわば、凛様の母上様の形見」

「お母さんのっ……」

声がつまって紫希の顔がぐちゃぐちゃに歪んでいく。


< 339 / 568 >

この作品をシェア

pagetop