狙われし姫巫女と半妖の守護者


他の生徒をするりと追い越して、隠れそうになる。

思わず身を乗り出して姿を追った。

他の男子より抜きんでた背。

滑らかな身のこなし。

揺れる短い黒髪。

私はそっと口を覆い、立ち尽くした。

「そんなバカな……」

もう、あの背中は窓からは消えた。

だけど私は、頭の中で何度も重ね合わせている。

さっきの背中と、着物の彼の背中を。

記憶の中の淡い輪郭線が、ピタリと重なってしまうような気がした。

まさか、同じ学校にいるなんて偶然あるわけがない。

それに彼が学生かどうなのかも、わからない。

「んっ!」

私はとっさに胸をおさえて、顔を歪めた。


< 34 / 568 >

この作品をシェア

pagetop