狙われし姫巫女と半妖の守護者
他の生徒をするりと追い越して、隠れそうになる。
思わず身を乗り出して姿を追った。
他の男子より抜きんでた背。
滑らかな身のこなし。
揺れる短い黒髪。
私はそっと口を覆い、立ち尽くした。
「そんなバカな……」
もう、あの背中は窓からは消えた。
だけど私は、頭の中で何度も重ね合わせている。
さっきの背中と、着物の彼の背中を。
記憶の中の淡い輪郭線が、ピタリと重なってしまうような気がした。
まさか、同じ学校にいるなんて偶然あるわけがない。
それに彼が学生かどうなのかも、わからない。
「んっ!」
私はとっさに胸をおさえて、顔を歪めた。