狙われし姫巫女と半妖の守護者
鈴を包んだ手の平が、胸が、じわりとあたたかくて、涙が頬をどうしようもなく伝う。
初めてお母さんのものに触れた。
「お母さん……!」
泣いて歪んだ口で、愛しい人の名を叫ぶ。
紫希に包まれたあたたかな手を、恥ずかしげもなく泣きながら、額にすりつけた。
私は、お母さんのぬくもりにやっと触れられたんだ。
ずっとずっと、触れてみたかったお母さんの欠片に……。
「大切になさってください」
頭上から紫希の声が光の粒のように降りかかる。
私は大きく頷いた。
絶対に大切にする。
大切にして、私こそがお母さんの想いを継がなくては。
私は強く瞬きをして、自らの名の通り凛と前を向く。
紫希は満足げに目を細めて微笑んでいた。