狙われし姫巫女と半妖の守護者
「すみません。ではお膳だけ下げさせていただきます」
鈴を転がしたような、華やかで愛らしい声。
おろおろと大きな深緑の綺麗な瞳を揺らして、しとやかな所作で障子を閉めると私のそばに寄ってくる。
彼女は私の前の空の膳の前に膝まづいて、目を伏せる。
なにもつけていない自然な長い睫毛がしなやかに伸びている。
胸がチクリと痛む。
とてもかわいい人なのに……。
お花の香りが匂い立つようなそんな素敵な人なのに……。
膳を持ち上げる彼女を見て私はやっと我に返る。
「あっ、あの、私にも手伝わせてください! なにか仕事したいです!」
思わず力んで叫んだ私に、女の子は美しい緑の瞳を落としてしまいそうに瞼を押し上げて、ふるふると首を振る。
「ダメです! 姫巫女様にそんなことさせたら私、怒られてしまいます!」
女の子は声を裏返し、膳をそそくさと持ち上げ、後ずさるように遠ざかってしまう。