狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は身を乗り出して、必死に呼びとめた。
「ちょっと待って」
彼女が障子の近くで、困ったように眉尻を下げて立ち止まる。
時間が止まったみたいに、言葉が出てこない。
私はなんでこの人を呼びとめているんだろう?
苦しく眉間にしわを寄せてまで、私はなんでこの人と話したい?
私はやっと声をひねり出す。
「じゃじゃあ、せめて、普通にお話しをっ! 年そんなに違いませんよね? えっとお名前……?」
喋りたかったことがわからず、どんどんグダグダになって、私は耐えられずに赤面する顔をおさえる。
でも、美しい鳥のさえずりのような控えめの笑い声が耳をくすぐった。
手を外せば、彼女は瞳をエメラルドのように煌めかせて微笑んでいた。
「やはりそう見られていましたか。私、こう見えても23なんです。あんずと申します」
「すすすすみませんっ! とんだ勘違いを……」