狙われし姫巫女と半妖の守護者
鼓動がはやまる。
ふたりは同じ小さな村の人同士だというのに、すごくおかしな質問をしている。
なぜか怖くて瞳を逸らしそうになる。
だけどそれでも、私は震えながら彼女の緑の瞳をなんとかとらえ続ける。
すると彼女は、頬を花を咲かせたみたいに桃色に色づかせた。
「ああ、紫希は幼馴染なんです。とはいっても、16年前にわかれて以来、最近ようやくまた会えたばかりなんですが。なんだか長居してしまいましたね。では」
彼女は会釈をして、私の部屋を後にした。
私は、障子紙に映った彼女のしなやかなシルエットを足が消えるまで、目で追っていた。
なんで私は、あの健気な人と自分を比べていたのだろう。
16年。今の私の一生分の長さ。
私は小さく蹲る。
あんな風にさらりと言える年月ではないはずなのに、彼女は優しい。
あの愛らしい頬の色はきっと恋なんだ。
戦が、私が、彼女から大切な人を引きはがしたんだ。