狙われし姫巫女と半妖の守護者
垣根のわきにひっそりと立つ私の前を、荷車が、人が、次々に行きかっていく。
私以外のものはみんな動いている。
私だけ部屋に閉じこもっているなんておかしい。
閉じこもってぬくぬくするために来たわけじゃないのに。
私は土の道のわきの芝の上にいる。
なんだか目の前に規制線が張られているみたい。
私はそっと顔を伏せ、足ののっているやわらかい芝に視線を落とす。
そんな規制線、のりこえられなくてどうするんだ。
着物の袖を高く掲げて、私は地を蹴った。
ひとっ飛びに超える勢いで、人の行きかう大通りを超えて、向こう岸へと躍り出る。
一瞬足が宙に浮いて、私はぱあっと花が咲くように笑った。
胸が高揚する。
私はこの村のことをもっともっと知りたいんだ。
そのまま跳びはねるように駆けだすと、小さなかやぶき帽子の軒先をくぐり抜け、ぽこぽこと緑が頭を出す畑を両脇に私は大きく腕を広げた。