狙われし姫巫女と半妖の守護者
目を閉じ走る。
自然はとってもお喋りだ。
風が追いかけっこして体を押す。
子ネコのお腹みたいにあたたかいお日様の匂い。
ふんわりと湿った土の香りが鼻の奥をくすぐる。
どれも優しいものだらけ。
私はくるりと回って跳ねまわる。
「ああ~!」
最高に気持ちいい。
こんなに気持ちいいのに、それを知らずにいるなんてもったいないじゃないか。
私はタンタンと下駄の音を響かせバンザイして見事な着地。
「あれ? 姫……巫女……様?」
その瞬間に、途切れ途切れのあどけない声がした。
首を傾げ、あちこちを見る私。
そして、視線を下げると、キョトンとした目と目があった。
左のあぜ道に佇んで、首を倒し私を見上げる幼い男の子。