狙われし姫巫女と半妖の守護者


目を閉じ走る。

自然はとってもお喋りだ。

風が追いかけっこして体を押す。

子ネコのお腹みたいにあたたかいお日様の匂い。

ふんわりと湿った土の香りが鼻の奥をくすぐる。

どれも優しいものだらけ。

私はくるりと回って跳ねまわる。

「ああ~!」

最高に気持ちいい。

こんなに気持ちいいのに、それを知らずにいるなんてもったいないじゃないか。

私はタンタンと下駄の音を響かせバンザイして見事な着地。

「あれ? 姫……巫女……様?」

その瞬間に、途切れ途切れのあどけない声がした。

首を傾げ、あちこちを見る私。

そして、視線を下げると、キョトンとした目と目があった。

左のあぜ道に佇んで、首を倒し私を見上げる幼い男の子。


< 352 / 568 >

この作品をシェア

pagetop