狙われし姫巫女と半妖の守護者


私は固唾をのんだ。

天くんのまだ小さくてやわらかそうな紅葉みたいな手に、音をたてて刀が受け渡される。

その重みに、天くんの手は持ちこたえながらも沈みこむ。

「もちろん俺が戦ってきっと勝ってみせるけど、いざというとき、自分の大切な人は自分で守るんだ」

怯えたように鳴きだす震える刀。

小さいその体には大きく重すぎる武器。

天くんの大きな瞳が揺れまどう。

私は、我慢できずに裸足のまま縁側から飛び降り、天くんに駆け寄った。

「乱麻くん! なにもこんな小さな子に、こんな物騒なもの持たせなくてもいいじゃない!」

強く怒鳴り、天くんが持たされた刀に手を伸べた。

「下がれよ! 戦も知らないヤツが!」

手がなぎ払われる。

荒くふるわれる言葉の刃。

私は手を引っ込めて、乱麻くんを見る。


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