狙われし姫巫女と半妖の守護者
恨めしげに大地を踏みしめる足。
わなわなと震える拳。
牙をむくように大きく開かれた口。
にじみ出てくる怒りに押される。
私は一歩だって動けない。
乱麻くんは尚叫ぶ。
「戦っていうのはそういうもんなんだよ! 反撃の刃を持っていなければ、大事なものが目の前で奪われていく!」
苦しげによじれた体。
ささくれだった、ちぎれそうな痛い声。
私は身を小さくして、その声をただ聞き耐える。
想いを受け止める耳が、心が痛くて、私は自分をきつく抱きしめた。
戦というものは、なんでこんなにも、心が痛いんだ。
私はこの痛みに耐えてまで、強くあることなんてできない。
私にはできないよ……。
乱麻くんは今、たったひとりでボロボロだ。
燃えるような色の着物着て、どんなに大きい声をぶちまけたって、それは隠せない。