狙われし姫巫女と半妖の守護者
話がつながった。
私を抱いて逃げて、皮肉にも村を守る結界によって故郷へ帰れなくなったんだ。
あの頃の紫希は、まだ大人を見上げていたほど幼かった子供。
姫巫女から託された私のことが、体を張ってボロボロになったお父さんに渡された真剣が、どんなに重かったことだろう。
村には会いたい人もいただろう。
なのに、あんな山奥の小屋にひっそりと暮らして、16年もの間、私を危機から救ってくれた。
そんな紫希に、私がなにかを求めるなんて、絶対にできない。
戦で失われたものは、決して、目に見えるものだけではないんだ。
とってもとっても大事なものを戦は奪う。
そしてそれは返らないんだって、私は知った。
私は紫希の優しい腕を掴んで押し戻し、顔が見えないように俯いた。
「だからずっと、人間の世界にいさせられる破目になっちゃったんだね……。ごめんね、私が紫希の自由を奪って」
凍てつく指を縁側の板につく。