狙われし姫巫女と半妖の守護者
私はそのまま背中を丸めた。
「今更、謝ってどうなる年月じゃないけど、ごめんね」
あまりに重すぎて、声が震えた。
白い寝間着の膝に、濃い水玉模様ができた。
覆いかぶさる紙がどうにかそれを隠してくれる。
「凛、お前」
「ごめん。私、少し疲れたみたい。休ませて、くれるかな」
頭の上で強く呼びかける声に、私はすぐ切りかえした。
紫希に甘えたくなってしまうから。
優しさを求めないように。
「わかった。ゆっくり休んでくれ」
縁側の板がきしんで、目の端にはとっくりを拾い上げる戸惑いがちな白い手が映った。
でもやがてそれも見えなくなり、足音が遠ざかっていく。
私は歯を食いしばって口を真一文字に結んだ。
遠くなっていく彼の音は、胸を割くように痛い。