狙われし姫巫女と半妖の守護者
「記憶の中で全部見て、知ったんです。私のせいで16年も村に帰れずにいたこと。キズだらけになったお父さんと、お別れもできないまま人間界にきてしまったこと……」
私はきつく胸をおさえる。
息も苦しくなるほど胸が痛い。
紫希の重い人生がのしかかってくるよう。
でもならばなぜ、私は紫希の幸せを喜べないのだろう。
私の心はどんどん、ドス黒く汚くなっていく。
きっちりあげられたお団子頭が脳裏をよぎる。
「あんずさんが、頬を赤くして、紫希は戦の前からの幼馴染だと、特別そうに、話してくれました。私は、ふたりの中を別ったんだ……」
私は自分の膝を叩きつける。
そう、私は、昔、ふたりを遠くはなしてしまったくせに、ふたりの再会を喜べないでいる。
なんて最悪な女だろう。
あんずさんの方が、ずっと綺麗に決まっている。
紫希が彼女を好きなのは、頷ける話。
だけどなぜか、隣から久々に長いため息が聞こえた。