狙われし姫巫女と半妖の守護者
そして、電光石火の如く部屋へ飛び込んでくる。
けれど、頭上で微かなため息とともに吐き出された声を私は聞き逃さなかった。
「どいつもこいつも、俺をバカにすんじゃねえよ……」
私の鼻先をかすめ、響は懐から漆黒の扇子を出し、細い手首はスナップをきかせ一振りで広げる。
そして次の一瞬、それは大袈裟に空気を仰いだ。
息もできない嵐が巻き起こる。
体だけは固定されて、手も足ももげそうだ。
なにかがぶつかり合う音が耳をつんざくよう。
なんとか開いた目にうつるのは、ひっくり返ったテーブル、畳に落ちた花瓶と無残に花びらを散らした結い花。
嵐にうめき声が混じる。
乱麻くんの小柄な体が吹き飛ばされていく。
背中が障子へと叩きつけられて、きくに堪えない音をたてた。
「乱麻くん!」