狙われし姫巫女と半妖の守護者
烏天狗総代、九条琴弥だ。
「今日にしてやっと、まともに仕事ができたようだな、できそこないの弟よ」
刃のように鋭く光る視線が響へと走る。
でも、響は無言のまま俯いている。
空気が緊張していく。
兄弟だというのになんていう会話……。
この人がきたら息をするのさえ苦しく感じる。
そのまま弟と会話をすることはなく、大きな歩幅で私の元へと近づいてくる。
あとから入ってきた黒装束の男ふたりが襖を閉め、入り口付近に手早く正座した。
そして私の足元で九条琴弥は立ち止まると、威勢よく身を低くした。
私は身をかたくして、思わず俯いた。
だけど、力技で顎に手をかけられ、上向かせられる。
まるで品定めをするような至近距離。
漆黒の瞳が私の顔を舐めまわす。
「やっと我が妻になりに来たか。面倒をかけさせる女だ」