狙われし姫巫女と半妖の守護者
そう言葉を吐きつけると、投げ捨てるように乱暴に私の顎を解放する。
放りだされてそらされた顔。
私は拘束されている手で壁を引っ掻いた。
怒りがこみ上げる。
私は、隠し持った刃でも振り抜くように、鋭く前を向いた。
「私をどうするつもり? 半妖の村に手を出したら、承知しない」
低い声で私は力をこめて言い放つ。
ありったけの怒りをあふれさせて、睨みつける。
なのに、目の前にドカリと腰を下ろした九条琴弥の口元は、バカにでもしたようによくしなった。
「度胸のいい女だな。嫌いではないぞ。でも、死に急いだバカな母親にそっくりだ。汚れている半妖の村などのどこがいい?」
私は目を見開ききった。
バカな母親……。
頭にこびりつく。
何度も何度も再生される。
そうだ、この人はあの日、あの戦場にいた。