狙われし姫巫女と半妖の守護者


そう言葉を吐きつけると、投げ捨てるように乱暴に私の顎を解放する。

放りだされてそらされた顔。

私は拘束されている手で壁を引っ掻いた。

怒りがこみ上げる。

私は、隠し持った刃でも振り抜くように、鋭く前を向いた。

「私をどうするつもり? 半妖の村に手を出したら、承知しない」

低い声で私は力をこめて言い放つ。

ありったけの怒りをあふれさせて、睨みつける。

なのに、目の前にドカリと腰を下ろした九条琴弥の口元は、バカにでもしたようによくしなった。

「度胸のいい女だな。嫌いではないぞ。でも、死に急いだバカな母親にそっくりだ。汚れている半妖の村などのどこがいい?」

私は目を見開ききった。

バカな母親……。

頭にこびりつく。

何度も何度も再生される。

そうだ、この人はあの日、あの戦場にいた。


< 428 / 568 >

この作品をシェア

pagetop