狙われし姫巫女と半妖の守護者
総代だと名乗ったおじいさんの隣にいた子供。
泣きぼくろがあった。
お母さんに最後の選択肢を淡々と語った、あの冷血な子供。
今もその面影がたっぷりと残っている。
大切なものがなにも見えていなさそうな光のない瞳も、悲しいことしかはけないその口も。
彼はその可哀想な口で、また汚い言葉を吐く。
「わかるか? あいつらは妖怪である誇りを忘れ、後世に継ぐべき血を、人間などと交わることで汚した。本来妖怪とは人間に恐れられるべき存在。それが、人間と交わる? 言語道断だ。そのようになり下がった種族は、駆除せねばならん」
言っている言葉は、あのおじいさんのもののほぼ丸写し。
誇ったように上から目線で私を見下ろしている。
自分がすべて支配した気にでもなったよう。
こんな人ちっとも怖くない。
少しも強くなど見えない。
私はこんな人に臆さない。