狙われし姫巫女と半妖の守護者
だから私は微笑をたたえて言った。
「なにそれ? 誰にすりこまれた考え? いつまでも埃かぶった古臭い考えを押し付けないで! 血なんて関係ない。純粋に愛を貫いてなにが悪い!? 人を思いやり、誰かを守るために業を鍛えている彼らの方がよっぽど強いわね!」
ピンと胸をはり私は堂々とまくしたてる。
そうだ、なにも恥じることはない。
私は彼らの存在こそを誇りに思う。
お母さんが守り抜きたかった意味が、ここに来た今なら痛いほどわかるよ。
あの人たちは自由だ。
力なんてそんなものは関係ない。
目の前のこの人は死んだように生きている。
それに比べ、あの村は子供が作った宝箱みたいなんだ。
ひとたび開ければ、あたたかくて、キラキラしていて、優しくて。
煌びやかで高価な宝石なんかないけれど、敵を打ち払う強固な剣もないけれど。
あの村は、かけがえのないもので溢れている。