狙われし姫巫女と半妖の守護者
狂ったような笑い声が休む暇も与えず耳に打ち付けてくる。
「これでいくらバカであってもわかっただろう? 妖怪のクズどもの半妖とは、覚悟の質が違いすぎると!」
けたたましく響く罵りの言葉。
私はやっと壁に背中を落ち着かせ、震える手をきつくきつく後ろで握りあった。
私は彼を凝視する。
「その目はなんだ?」
彼は気にくわなそうに鋭く目を細めた。
でも私は自分の瞳に、ありったけの侮蔑と悲しみを帯びさせる。
「確かに苦労して、一生懸命生きてきたのね、おじい様のために。でも可哀想。力や地位でしか相手をはかれない人に育ってしまって」
私は笑わない。
ただ、彼があわれだった……。
けれど、突然頭に痛みは走った。
彼の手が私の前髪を乱暴に掴み上げる。
「それ以上、変な口を利かないのが身のためだ。黙って我が妻となれ。そしてお前の力を使い、半妖のみならず、他種族にまでも、烏天狗の九条家の名を恐れとともに刻みつけるのだ」