狙われし姫巫女と半妖の守護者
「なら、私が自殺したらどうなるの? あなたの望みは叶わずに済む」
私は即座に舌を出した。
震える前歯を、舌に突きたてて彼を睨む。
なのに彼は興味がなさそうに私の髪をはなして捨て台詞をはく。
「お主がいなくとも、姫巫女のいないクズどもの村など、赤子の手を捻るように容易いわ。お主が俺の命に背いたら即刻、あの村を破壊しに行こう」
私は崩れるように、身のすべてを壁に預けきった。
信じられなくて心臓が騒ぐ。
「俺もおじい様も大嫌いな、如月紫希とやらは、まっ先に仕留めてやる」
硬直してしまった瞳に、彼の憎悪に歪んだが飛び込む。
なぜ、紫希にそんなにも強い殺意を向けるの?
私には、何のなすすべもないの……?
唯一できることは、イヤなこの人の言いなりになることだけ……。
私は悔しさのあまり奥歯を噛み締めて、俯いた。
涙すら出てこない。