狙われし姫巫女と半妖の守護者
裏切り者
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襖の陰から見えた、高い位置にある白い肩。
震えて、そこで立ち止まっていた。
私は息をつまらせる。
頭の中を次々によぎるのは、お父さんの顔ばかり。
私が覚醒した日、九条琴弥に私もよく知る人だと聞いて、一番疑ってはいけない人を疑い続けてきた。
口から心臓が飛び出しそうだ。
手足が酷く震える。
私の足は畳の上を必死に這い、逃げようがないほど壁に背中を貼りつかせた。
逃げたい、見たくない、残酷な事実なら知らなくていい。
お父さんだったらどうするの。
頭の中にこだまする言葉。
私はあまりに恐ろしくて悲鳴をあげ蹲った。
けれど、響の大声がとどろく。
「ああ、面倒くさ。ああやって指図するとこ、マジいけすかねぇ。とっとと入ってこいよよ!」