狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は吐息をつくように声を漏らす。
「なんでここに……」
喉が狭くなってうまく声が出ない。
信じられなくて、私はぶるぶると首を振る。
捲れた袖から見えるたくましい腕。
私の頭を小さいときからよく撫でてくれた、大きな包むような手。
私の憧れの人の、大好きな、あの手……。
男は顔をあげる。
「なんで!! なんで!! 雨宮おじさんがここにいるの!?」
私は叫ぶ。
畳にすりつけられる男の歪んだ顔。
私に、神社でも、学校でも笑いかけてくれたあの優しい人の顔。
「すまなかった! すまなかったぁぁぁ、凛ちゃん……!」
泣き叫び声と、悔しげに叩きつけられた畳。
怖くて折り畳んだ足から、震えあがるような振動が伝わる。
全身の毛が一瞬にして逆立つ。