狙われし姫巫女と半妖の守護者
なによ、それ……?
「俺は、ただただ、涼子さんを愛していただけなんだ……」
小さな呟きを聞き落としそうになった。
雨宮おじさんの唇が苦しげに歪む。
私はなんのことやらわからない。
言葉も出ず押し黙り、見ていることしかできない。
やがて雨宮おじさんは、静かに起き上がり、私の目をちらりと見ると、低い消え入りそうな声でこう言った。
「俺は烏天狗と人間の半妖なんだ」
私の顔から表情が消えうせる。
雨宮おじさんは、両の拳をかたくかたく握って、首をおり語りだす。
「生まれたときから、人間界で暮らしていた。でも俺は他の子供と比べると、風変わりだったから、つまはじきにされていたよ。だから、人間が嫌いだった。純血の烏天狗として産んでくれなかった両親を、俺はずっとずっと憎んでいた」
「冗談やめてよ、雨宮おじさん……」
やめてほしくて口をはさむ。
でも、彼はなにも聞いてはいない。