狙われし姫巫女と半妖の守護者
目の前のひとりの男は、頭を振り、怒り叫ぶ。
私は少し目を逸らす。
この人はいったい、お母さんをなんだと思っていたんだろう……。
ひとりの女性として見ていた……?
お母さんがどういう人かをわかっていた……?
ううん、違う……。
でも彼は、自分の痛みをぶつける。
「俺はまた、ひとりになったよ。彼女がいなければ、人間界なんて窮屈でたまらないところだった」
自分から殻に閉じこもるように丸めた体。
また前を見えなくするように伏せてしまった顔。
私はかける言葉もない。
男は畳にむかって静かに呟く。
「そんなとき初めて、総代の使いだと名乗る烏天狗が現れた。姫巫女を烏天狗一族に引き込む手伝いをすれば、半妖の俺を烏天狗の街へ住まわせてもいいと言ってくれた」
私の中の血がたぎる。