狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は口を開こうとした。
けれどその瞬間、私の目の前に突如銀色に煌めく刃が現れた。
男の首筋に、迷いなく添わされた鋭い刃。
声をあげて息をのむ私。
「言い訳は聞き飽きた」
氷のような声が頭上から降りおりる。
息を止めた私はおもむろに上を向く。
男の背中を踏む黒い足袋をはいた足。
どこからか出した小刀を、寸分たがわず首の太い血管が浮き出た場所に近づけている手。
それを、光のないまっ黒な瞳で見下ろす響の顔。
「それでも男かよ? ふざけんじゃねえ。お前は、男の風上にも置けない」
彼は淡々と告げる。
「お前は、自らの手で、愛した女を殺したんだ」
鮮烈に頭に響く。
男は押し黙る。
観念して動かない。