狙われし姫巫女と半妖の守護者
私の、かつての、憧れだった人。
私は俯きむせび泣く。
これで終わったんだ。
お父さんを疑わずに済むんだ。
私は泣きながら、ほっとした息をつく。
「お前はなんにつけても、甘っちょろい女だな」
そんな私の耳を、ちょっぴりとげとげしくも、甘い声がくすぐった。
前を向くと、開け放たれた襖の縁に背を預けて立っている響の姿があった。
彼はダルそうに髪を撫で、低い声で問いかけてくる。
「お前は明日、兄貴の妻になれば、一生籠の鳥だぞ。それでいいのか」
私は目を何度も瞬いた。
重い言葉が胸にずしりと重なっていく。
でも、この人は九条琴弥の弟だ。
なぜ、私にそんなことを問うの?
響はなにも言えない私に、しかめ面して、すぐに顔を背けた。
「だから、俺の女になればよかったんだ」