狙われし姫巫女と半妖の守護者


だから、私の瞳は揺れない。

目鼻立ちのすっきりとした女性は顔をあげ私に告げる。

「本日の夕刻より婚姻の儀が執り行われます。それまでにご支度を済ませるよう、琴弥様からいいつかりました」

「お願いします」

私は丁寧に頭を下げる。

いよいよ、私の大芝居の幕が上がる。

*・*・*・*・*

辺りは一面紅白の幕。

見上げれば、空は黄昏色に変わっていた。

私は用意された椅子から立ち上がり、砂利を踏みしめる。

ようやく一切の拘束が外されたけれど、動きづらかった。

私は上質な絹の白い着物の袖口を掴む。

見下ろす限り、全身、見事な純白。

されるがまま、女性たちに着せられた白無垢。

私は紅をさした唇をかみしめる。


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