狙われし姫巫女と半妖の守護者
口元をおさえても抑えきれない笑いが聞こえてくる。
いやらしい感情をたっぷり吸った笑い声。
私は衝撃を受けて幕から手をはなし、クルリと身をひるがえして深く息をつく。
琴弥は、総代の座を引きずりおろされようとしているんだ……。
彼の圧倒的な支配力のイメージからはかけ離れ過ぎている。
というか、味方同士でありながら、少しも団結が見られない。
きっと力のあるものがそれぞれに、虎視眈々とその座を狙っている。
醜いくらいに、内部はバラバラだ。
少し目を凝らせば、そこら中ほころびだらけ。
強いのはたかが力だけだ。
私は凛々しく前を向く。
こんなヤツらに、強く団結したあの強い村の人たちをキズつけられる気なんてしない。
私は、きっとできる。
「爪の先ほどくらいの覚悟は固まった顔をしているな」