狙われし姫巫女と半妖の守護者
彼がどんどん逆上していく。
形勢逆転だ。
私は怯まずに、要求を宣言する。
「半妖の村に手を出さないこと」
「お主はバカか。それはあり得ないと……」
怒鳴って食い付いてきた琴弥に私は瞳を輝かせ、畳みかけた。
「わかってる。でもあれはあなたの一方的な要求でしょ! なら私も言わせてもらう! ねえ、姫巫女を妻にするということの本当の意味がわかってる?」
醜く顔を歪め、耐えがたそうに砂利を踏みつける総代様。
私は、怒りで燃えさかった笑みを浮かべる。
ここからだ、私の一世一代の大芝居。
私にできるありったけをぶつけろ。
私は喉から笑いをこみ上げさせる。
「考えなしなわけ? 姫巫女を妻にするということは、かたわらに爆弾を置いているのと同じよ。村に手を出そうものなら、私は母のように全寿命を使い、内部から姫巫女の力であなたたちをなぎ払ってしまうから」
私の熱い肌の上を、冷えた風がかすめていく。