狙われし姫巫女と半妖の守護者
「乱暴ね。脱がせても出てこないけど? だって、お母さんの形見をあなたたちに奪われるわけにはいかない。体の中にうめこんだわ。だからあなたには、奪えない」
私は大ウソをつきながら、平然と微笑む。
鈴は村に置いてきた。
体になんか入っているわけもない。
我ながらよくこんなウソが出てきたものだ。
能力だってまだ使えはしないのに。
でも、彼を騙せればそれでいい。
だますことにこそ意味がある。
鈴の在り処がバレれば、すぐに村は狙われる。
もし私が持ってきていたら、悪用されたかもしれない。
なら、このくのくらいのウソはつかないと、生きてはいけない。
けれど依然として、探るように睨み続ける彼に、私は声を低くして言い放った。
「私を見くびらない方がいい。あなたが言ったように、私はバカな母の娘よ。バカは時に、大それたことをしでかすから、よく気をつけた方がいいと思うけど?」
私が言い終えるなり彼は舌打ちをして、やっと解放した。