狙われし姫巫女と半妖の守護者
私は襟を直しながら、追い打ちをかけるように釘をさす。
「あなたの周りは敵だらけで大変ね。年上の部下さんの声だって、総代様の耳には入っているんでしょう? だから、その人たちを黙らせるためにも私との結婚が必要なのよね?」
わざと厭味ったらしく言ってやる。
すると彼は、気持ち悪いほど柔らかに表情をほころばせた。
彼には似つかわしくない。
私の表情は固まる。
目が死んだように輝きを失っている。
その崩れた面の皮の下から、おぞましい執念がにじみ出ているように感じる。
いったい、なにを考えている……?
「もとは人間のくせに、俺をそこまで誘導しようとするとは大した女だな。戯言として聞いてはおこう。だが、お主などの言うようにうまくいくと思うなよ? 俺はあの連中とは違い九条家の誇りを持っているのだからな」
彼の手が私の顎に触れる。
自分しか見えないように顔を近づける。
強い瞳がでかでかと映し出され、威圧してくる。