狙われし姫巫女と半妖の守護者


「半妖の村は諦めないぞ」

私は息をのんだ。

けれど、彼の手を押し返し、静かに告げる。

「結構だけど、私は本気だから、忘れないで」

憎らしい彼とともに、黄昏の空が映りこむ。

そうだ、私だって諦めない。

いつになるかわからないけれど、中からここを崩し、半妖の村を笑顔でいられる場所にして、私もここから抜け出す。

私はすべてを諦めない。

「失礼いたします。入場のお時間となりました」

その時膝まづいた女性がそれを知らせに来た。

ついに、望まない結婚の時はきた。

*・*・*・*・*

赤く染まった絨毯の上を、言われるがまま、参列者の列のまん中にできた道を、琴弥に続いて俯き歩く。

強い赤が白無垢を紅色に染めて見せる。

一歩一歩進むたび、参列者の不躾な視線が私へ突き刺さる。


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