狙われし姫巫女と半妖の守護者
まったく祝われてなどいない。
物珍しげにぎろりとむかれた目玉が私の方を向き、ひそやかな囁き声が合唱になる。
烏天狗たちの列が黒い波となって揺れる。
そこかしこで燃える松明がパチパチと弾けている。
イヤらしい好奇心と、雑音に満ちた空間。
なんて居心地が悪いんだ。
時折吹くむらのある風が右側に張り巡らされた幕の向こうの森の木々を大きく揺らす。
私はほとんど瞼を伏せ気味に、ただただ参列者の間を歩いていった。
そして前までたどり着くと、壇上のわきに立っていた袴姿のおじいさんが深々と腰を折る。
「新郎新婦は、壇上の席へおつきください」
参列者の間の道のまん前に、左右へ広がる純白の壇上。
そこにふたつ並べられた朱色の座椅子。
琴弥はそそくさと上がっていく。
私は唇をかみしめながら、重い足で地を蹴った。