狙われし姫巫女と半妖の守護者
「紫希やめて!」
全身を絞ってとどろかせる。
涙が散る。
彼がはっとしてこちらを向く。
私は顔に力をこめ、涙を堪えながら、大声を張り上げた。
「私は望んでここにいるの! もう紫希たちはキズつかなくていいの! 私は平気だから! 危害は加えられていないから! 私がいる限り絶対に村へは手を出させない。私はそれでいいの。お願いだから、今すぐに帰って!」
私は震える手をギュッと胸に押し当て、喉をからし絶叫する。
拳を押し当てた胸が、じんじんと痛い。
きつく閉じた瞼の隙間から涙がボロボロとこぼれ落ちる。
掴まれている手首ははなれなくて、私はその場に足元から崩れていく。
私は身を小さく丸め、声を押し殺し泣く。
私はもう十分だよ……。
大好きなあなたが、一生懸命私のことを助けに来てくれたという、ただそれだけで。
でも何より嫌なのは、みんながキズつくことなんだよ。