狙われし姫巫女と半妖の守護者
紫希がまた心までキズだらけになることなんだよ。
だから今回こそは、私に守らせてほしいの……!
あなたに好きな人がいたとしても、悲しい過去にとらわれていても、あなたにいつか心から笑ってほしいんだ。
私は歯をきつく食いしばって前を向く。
その時、5つの漆黒の翼が空へと放たれた。
紫希の頭上へ一斉に下降する。
短く悲鳴をあげる私。
だから、だから、だから、どうか逃げて……!!
強く願った。
すると、刃の甲高い声がこだまする。
目を見張る。
すべての黒い翼が花のように、狂い散る。
紫希の振り抜いた刃が、黄昏に燃えて軌跡を描く。
彼のかっと見開かれた瞳が、私の心を無理矢理鷲掴む。
彼が小さく見えるほど距離があるのに、私は掴まれて目を逸らせない。