狙われし姫巫女と半妖の守護者
「バカを言うな! お前の犠牲のもと、俺たちにのうのうと暮らせというのか!? そんなこと俺にできると思ったか。男がした約束はな、絶対なんだよ。もうお前の我儘は聞かないぞ」
切ないくらい、好きな人の声が頭の中に響き渡る。
私は釘づけになる。
彼の声がありったけ響く。
「俺は、お前を守り、必ず連れ帰る!」
涙がとめどなく溢れだした。
彼は勢い良く地を蹴る。
刃は荒れ狂う嵐の如くふるわれ、次々に烏天狗の体はすっとばされる。
時折戸袋の光線が、彼の脚を、肩を掠めて血飛沫が散る。
なのに、その嵐はそんなキズをものともせず参列者のまん中を割き、駆け抜けてくる。
私は息をすることも邪魔に思え、彼だけを真剣に見つめていた。
まるで彼自体が刀のよう。
ボロボロなのに、降りかかるすべてをその体で跳ね返し、塞ぐものあれば切り裂いていく。
いよいよ彼が、ただまっすぐにこの壇の元へとたどり着く。
けれど、掴まれていた私の手が突然解放されたのはその時だった。