狙われし姫巫女と半妖の守護者


乱麻くんと七瀬くんの元へも黒い翼が飛んでいく。

私はやっと我に返る。

おろおろと瞳を揺らす。

このままではいけない。

3人の命が奪われる!

私は思いきり足を蹴り出した。

絶対に絶対に奪わせはしない。

そして、琴弥の羽織りへ死に物狂いで手を伸ばし、力のある限りしがみついた。

「ねえ、お願い、3人を見逃して! 私が3人を説得して帰らせるから。だから命だけは! お願い! 私は必ず逃げ出さないと約束するからっ!」

敵の背中に追いすがって、私は泣きじゃくる。

何度も何度も力をこめそびえる背中を揺する。

耳には、聞くに堪えない攻撃の音が幾重にも重なって飛び込んでくる。

お願いだ……、私はどうなってもいいから、あの人たちに手を出さないで。

私は必死だった。


< 477 / 568 >

この作品をシェア

pagetop