狙われし姫巫女と半妖の守護者


顔をぐしょぐしょに濡らし、泣き叫ぶ。

でも、その瞬間頬に痛みが走った。

同時に、黒い雨の降る洗浄がぐらりと揺れる。

「黙れ、お主にはもう用はない。すべて仕舞だ」

崩れながら、視界の片隅に琴弥の拳を見た。

そして私は床に叩きつけられる。

耳に琴弥の微かな声が残っている。

今、なんて言った……?

仕舞……?

涙がぴたりと止まる。

全身を震わせながら慌てて彼を振り返る。

彼は右の手の平を突き出して、口を開いた。

「俺は、如月紫希、そいつをこの手で処分する! 手助けは無用! 皆も、そのふたりを始末した後、速やかに半妖の村へと進軍せよ。今回こそあいつらを焼きはらえ!」

全身の力が抜け落ち、床にへたりこむ。

目の前の烏天狗たちが一斉に声を解き放つ。


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