狙われし姫巫女と半妖の守護者
冷酷な声に導かれ視界の端に琴弥の姿をとらえれば、また手の平に黒い力をため込んでいた。
「紫希、逃げて……」
必死に声を絞り出すけれど、紫希はこっちを見てくれない。
ずっと前を向いて、唇をきつくきつく引き結んでいた。
そして、微かに口にする。
「なんで、凛にこんなことすんだよ……。なんで、俺のために……」
彼が苦しげに唸る。
琴弥の黒いエネルギーの塊が大きくなる。
するとその時、私の体は高く浮き上がったのだ。
目の前を、琴弥の方に向かってまっ黒な光線が矢のように飛んでいく。
琴弥の体が光線にあたって真後ろに倒れ込み、私は目を見開いた。
一瞬にして、地上を離れ体がふわり空に舞い上がる。
紫希の腕に抱きかかえられたまま。
「あっ……」